訪問販売を装おった空き巣のケース

世間的に違和感があるとはいえ、訪問販売は依然として存在する仕事です。住宅地をまわり、ニーズのありそうな家を訪問する営業マンの姿は、「仕事をしている」というように世間からは見られるでしょう。

ですが、それ故にその姿をカモフラージュにした犯罪も存在しています。その最たるものが「空き巣」です。訪問販売員を装って住宅地を徘徊して、空き巣を行うことに適した家を見つけようとする行為も、たしかに存在しています。

営業活動に関しては、道路などの公共の場所を専有するのでなければ、特段警察などに届け出なくても良いようになっています。ですから、「今日から訪問販売でこれを売るぞ」と決めたとしたら、それが即時実行可能な状態です。たとえまったく売れなかったとしても、住宅地を徘徊して、各家を訪ねることは違法ではありません。逆に言えば、それを装えば昼間から堂々と住宅地を物色することができるのです。人に見られても構いません。怪しいと尋ねられたら、「仕事をしている」と答えればいいのです。

訪問販売が敬遠される理由はここにもあります。「装った者が犯罪のために情報を収集することができる」状況を、「訪問販売」という形式自体が作り上げているということです。そのようなことがあるため、世間では訪問販売を敬遠します。知らない人、地域で馴染みのない人が、たとえそれが本当の訪問販売員であったとしても、地域を徘徊することに不安を覚えない人はいません。その不安が的中してしまった事例もいくつもあり、そうなっては本当の営業マンだろうが、不審者だろうが、同列に「怪しく」感じるものなのです。

「セキュリティ」という概念はこの10年で数段進歩しました。ネットワークを用いて監視が可能な防犯カメラをはじめ、各マンションにはオートロックなどの設備も常設されるようになりました。そのような時流に逆らえず、訪問販売から撤退する事業者もたくさんいます。訪問販売をやめてプル型の営業に転換する企業がいくつもありました。それでもまだ、足を使って稼ぐということを続ける企業もいます。それらの企業の営業マンとドロボウを、一般の人は見分けることができません。

モノを売るということがとても難しくなった時代でもあります。ただ訪問するだけでも、世間の目というものが厳しくなった時代でもあります。そして、犯罪に手を染める人も頭を駆使する時代です。訪問販売を装うことで世間の目を欺けるのであれば、それを行う人はたくさんいるのです。

いっそのこと、その地域で営業活動をすること自体に規制を設けてほしいものです。「許可証」のようなものを提示しなければ営業活動ができないようになれば、少しは治安も良くなるのかもしれません。ですが、現実にはそうではなく、それを逆手にとった犯罪が存在するのです。それが現状であり、それに対して私たちは各自対策を練る必要があるということです。ますます、訪問販売は廃れていくことは間違いありません。

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