自然と座り込む営業マン

訪問販売の営業マンにとっては、「こちらと話している時間」こそが、仕事をしている時間ということになります。どれだけの相手と効率よくハナシをすることができるのか、ということが営業の最初の「数字」になるものです。

そして一度「トーク」を仕掛ける相手を捕まえて、いざ「売り込み」という段階に至った場合には、その顧客に対して最終的に「成約させる」ということが必要になるのですから、その相手に自分が持つすべての営業スキルを叩き込むことが必要になってくるのです。相手がどういう相手なのか、どのようなハナシを好むのか、何に対して価値を持っていて、何に対してお金を支払っても良いと考えているのか、「自分の意志」で選ぶのが好きなのか、それとも「人に薦められる」ものを信用してしまうのか、そのような個人の特性も営業トークを仕掛けながら見極めているのです。

「商談」というものはビジネスにおいては最前線中の最前線です。その商談がなければその成約はないわけです。ですから、そのビジネスにおいては営業マンがどれだけの商談をこなして、どれだけの成果を上げるのかということがもっとも重要になってくるというわけです。

営業マンのタイプによっては、相手とさんざん仲良くなってから、自然と営業マンの思惑通りに事を運ぶような手法を取る人もいます。相手と短時間で仲良くなること、それはある意味才能でもあるのですが、営業マンとしてのスキルのひとつでもあります。

人は誰でも仲良くなった人のことを半ば信用するものです。人を信用して、その信用した相手の言うことのプライオリティも重く置いているものなのです。ですから、その営業マンと仲良くなれば、その人が言ったことに対して「信頼」してしまうというのが人の「習性」なのです。

営業マンによってはこの「仲良くなる」という点をもっとも大切にして営業活動を行っている人もいます。相手と仲良くなるためには、相手と打ち解ける「時間」が必要ということです。相手と打ち解ける時間を確保するために、なるべく長くトークしたいわけです。

「座り込んで話す」ということはそのように「仲良くなる」ためのもっとも重要な手段です。こちらの心の扉を自然に開いて、ほとんどは関係のないハナシを続けて、それでも最終的にはこちらに対して何かを売りつけているのです。それが「自然」に行われているため、こちらも「売りつけられた」という気持ちにならないのが不思議なところです。むしろ、仲良くなってしまったので「また来て欲しい」とさえ思ってしまうのです。

そのような気持ちにさせる営業マンこそ、もっとも「やり手」です。こちらに不快な思いをさせず、目的を遂げることができるようなタイプの営業マンは、それが本当はいらないものであったとしても、購入者に対して「必要だ」と思い込ませてしまっているということなのです。そのような営業アプローチであれば「クレーム」も出ないということです。

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